「行政書士試験は独学で十分」「初心者でも独学3か月で合格できる」といった声がよく聞かれます。
しかし実際のところ、行政書士試験は独学で合格できるのでしょうか?
- 独学で合格するには正しい勉強方法を実行することが大切
- 独学のメリットは受験費用の安さと勉強の始めやすさ
- 独学はモチベーションを保ちにくい
行政書士試験の難易度は高いため、独学で勉強をしていくのか通信講座を利用するのか悩んでいる方が多いと思います。
今回は、行政書士試験の独学について解説します。勉強方法に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
行政書士試験は独学でも合格を目指せる!
行政書士試験は、予備校や通信講座を活用して勉強するのが一般的です。
しかし、中には市販のテキストのみで勉強をして合格する人もいます。独学で勉強をするか迷っている方向けに、独学における勉強のポイントをご紹介します。

行政書士試験を独学で合格したい場合、勉強の質を担保しと正しい勉強方法を続けることが大切です。
独学は、勉強の方法によって合否が左右されることがあります。自己流の勉強方法では、試験であまり出題されない範囲に力を入れてしまい、結果的に遠回りをしてしまうこともあります。
そのため、まずは効率的な勉強の順番を考えることが大切です。
他にも、学んだことをしっかりと定着させるためにアウトプットの練習量を増やすことも欠かせません。
- 配点の大きい科目から勉強する
- インプットよりもアウトプットの練習に時間を割く
独学で勉強する際の勉強方法について学んでおきましょう。
行政書士試験は科目によって配点が大きく異なります。
法令等科目における行政法の配点比率は46%、民法は31%となっており、これら二つの科目だけで全体の77%を占めています。
つまり、行政法と民法を攻略することが合格の鍵となります。まずは、行政法と民法を中心に学習計画を立てましょう。
具体的には、民法から始め、その後に行政法を学びます。
そして、基礎法学、憲法、商法と進み、最後に一般常識等の科目に取り組むという流れがおすすめです。
勉強の順番を間違えると、多くの知識を身につけても、試験で得点を得ることが難しくなります。配点の高い科目を優先して勉強していきましょう。
行政書士試験の範囲は広く、覚えるべき知識が膨大です。
しかし、試験には一定の出題傾向があり、毎年似たような問題が出題されます。そのため、まずは知識を学ぶ段階をできるだけ早く完了させることが重要です。
そして、その後の時間を問題演習や過去問題を解くアウトプットの練習に割きましょう。
問題を解き、インプットした知識を実際に使ってみることで、その知識が記憶に定着します。
また、出題傾向に対する理解も深まっていくでしょう。出題傾向の理解を深めた上で、改めて教材やテキストを見返すと、前回とは違った角度から理解を深めることができます。
行政書士試験のような難関国家資格は、独学よりも通信講座や予備校を活用した方が合格しやすいと言われています。
行政書士試験の内容は難しく、戦略的に勉強していく必要があります。予備校や通信講座は過去の試験内容を徹底的に研究し、最適な学習方法を作り出しています。
例年、行政書士試験の合格率は低く、約10%前後です。
一方で、有料受講生の50%が合格した実績を持つ通信講座もあります。
勉強効率の観点においては、独学よりも通信講座や予備校を利用する方がいいと言えるでしょう。
しかし、通信講座や予備校を利用して合格した人の中には「独学でも合格できたかもしれない」と感じる人もいます。
勉強に自信のある方は独学で勉強し、合格率を少しでも上げたい方は通信講座を活用するのがいいでしょう。
独学のメリットとデメリット
行政書士試験の独学には、受験費用が安いといったメリットがある一方で、勉強効率が悪くなるといったデメリットもあります。
メリットとデメリットをそれぞれ踏まえた上で、独学で勉強を続けていくのかを判断しましょう。

独学の主なメリットは、受験費用の安さと勉強のしやすさにあります。
途中から通信講座や予備校の利用への切り替えもできるため、まずは独学で勉強するのもいいでしょう。
独学で行政書士試験を受験する大きなメリットの一つは、受験にかかる総費用を大幅に抑えられることです。
一般的に、予備校や通学講座を利用する場合、受講料は10万円から25万円程度になります。
これに対して、独学では市販のテキストや問題集の購入のみで済むため、合計の費用が約7,000円程度と非常に安く抑えられます。
予算をかけずに合格を目指したい人にとって、独学は非常にお得な勉強方法です。
独学以外の勉強方法は初期費用が高く勉強を始めるハードルが高いといえます。
一方で、市販テキストによる独学であれば、数千円から勉強をスタートできます。気軽に行政書士試験の勉強を始められるでしょう。
勉強をすることで、実際の試験の難易度を肌で感じることができます。難しいと感じた場合、勉強を辞める判断もしやすいでしょう。
講座を受講している場合は、原則として返金できないため途中で辞めてしまうと大きな損失となってしまいます。
独学には、忙しい社会人にとって大きなメリットがあります。自分の生活スタイルやペースに合わせて勉強できるため、ストレスなく勉強しやすいでしょう。
予備校に通う場合、校舎までの往復や講義が始まるまでの待ち時間など、多くの時間を要しますが、独学ならそういった時間は必要ありません。
天気の悪い日や暑い季節でも、予備校への移動に関するストレスを感じることなく、自宅や好きな場所で自分のタイミングで勉強ができます。
仕事やプライベートと勉強のバランスを取りやすくなり、時間を効率的に使うことができるでしょう。
市販テキストの独学では、テキスト情報をもとに全ての知識をインプットしていきます。
予備校のように、講師のかみ砕いた内容を理解するのではなく、自身で考えながら知識を正確にインプットしていかなければなりません。
そのため、テキストを読んで理解する力がつき、思考力が高まるといえるでしょう。
行政書士の実務では、各種手引きを読み込む力が求められるため、合格後も培った思考力を活かす機会が多くあります。

独学のデメリットは、一人で勉強するがゆえの勉強効率の悪さにあります。
勉強に自信のある方は、独学での勉強がおすすめです。デメリットを踏まえた上で、独学での勉強について考えてみましょう。
独学のデメリットには、学習効率の悪さがあります。
独学では、勉強の順番や各科目に割く時間、学習内容など、全て自分で決めなければなりません。
そのため、どの内容をどのように学ぶべきか、計画を立てる際に迷ったり、悩んだりすることが多くなります。
また「選んだテキストの内容を誤って覚えてしまう」もしくは「内容の理解に思ったよりも時間がかかる」などの問題も生じる可能性もあります。学習効率が下がり、不合格のリスクが高まってしまいます。
一方、予備校や通信講座では、専門家によって作られた効果的なカリキュラムに従って学習を進めることができます。
勉強計画に関する不安が解消され、集中して効率的に勉強できます。
したがって、自分で計画を立て、管理することに自信がある人には独学がおすすめですが、より効率的に勉強したい人は独学以外を検討しましょう。
独学で勉強しているとモチベーションが保ちにくいことがあります。
一人で勉強していると、一時的にはやる気に満ち溢れていても、数か月の間にモチベーションが下がってくることが珍しくありません。
一方で、予備校であれば、同じ目標を持つ他の受験生が周りにいます。自然と勉強へのモチベーションが高まります。
また、予備校に通うこと自体が一種のルーティンとなり、定期的に勉強する習慣が身につきやすくなります。
行政書士試験の一般知識問題は、範囲が広いため、独学での対策が難しいとされています。
特に過去問題の分析だけでは、高得点を狙うのが難しいこともあります。
市販のテキストを使って勉強できますが、内容が広範にわたり、それにも関わらず配点が比較的低いため、勉強のコストパフォーマンスが悪かったりします。
通信講座では動画などの視覚的な教材を使って解説されるため、理解しやすくなります。
特に、動画であれば、知見の無い分野であってもテキストだけを読むよりも理解しやすいというメリットもあります。
独学での合格に必要な勉強時間とスケジュール

行政書士試験の合格に必要な勉強時間は、一般的に800~1000時間とされています。
独学で学ぶ場合は1000時間を目安に考えると良いでしょう。
教材選びから勉強方法の確立まで、全てを自分で行う必要があるため長めの時間を想定しておきましょう。
仮に、毎日勉強するのであれば1年間で約2.7時間の勉強が必要です。
ただし、必要な勉強時間は学習者の素養や法学部出身者等の有無によっても異なります。
法学部出身者や以前に法律関連の資格勉強を経験したことがある人の場合、600時間程度で合格も目指せるでしょう。
また、一発で行政書士試験に合格できなかった場合は、来年度の試験に向けてさらに勉強時間が必要になることも頭に入れておきましょう。
行政書士試験の勉強をするタイミングによっては、11月の試験まで3か月や6か月しかないといったことがあります。
次年度の受験を目指して本年度は試験の様子を見る「記念受験」を選択することも一つの方法です。
3か月以上の勉強期間が残っている場合、効率的な勉強スケジュールを立てて短期間での合格を目指すのがおすすめです。
3か月間で行政書士試験の合格を目指す場合、毎日6~8時間の勉強が必要です。
3か月間勉強すると、総勉強時間は約540時間から720時間であり、合格に必要な知識を身につけることは十分可能です。しかし、毎日6~8時間の勉強は簡単ではなく相当の覚悟が必要です。
また、3か月という限られた期間での合格を目指すには、勉強のスケジュールを厳密に管理することが大切です。
具体的には、1か月目には民法と行政法のテキストと過去問を一通り学習することを目標にしましょう。
短期間で合格するための鍵は、テキストでのインプットよりも問題集や過去問を使ったアウトプットを中心にすることです。
2か月目以降は、実際の試験に近い形式で問題を解きながら、間違えた部分や理解が不十分な箇所を重点的に学習していきます。
インプットとアウトプットをバランス良く組み合わせることで、限られた時間の中で合格を目指しましょう。
6か月間の勉強で行政書士試験に合格する場合は『短期合格』といえます。
6か月での合格は難しいと感じられるかもしれませんが、実際には独学で半年の期間で合格する受験生も多く、現実的な目標と言えます。
具体的な、おすすめの勉強スケジュールとしては、初期段階では毎日2~3時間の学習を目安にし、試験の直前期の1~2か月前には、1日あたり8時間程度の集中的な勉強を行うことがおすすめです。
勉強の科目としては、民法と行政法を中心に勉強していきます。
これらの科目は試験で高い配点を占めており、まずはこれらの科目を中心に勉強し、合格点に近づけることを目標にします。
試験が近づいてきたら、他のマイナー科目にも手を広げていきましょう。
6か月間の勉強では、配点の高い科目を優先し、難しい問題に深入りしすぎないことも大切です。
難問を解くことにこだわりすぎると、他の範囲の学習に割ける時間が減少してしまいます。
全体的な試験範囲を効率的にカバーすることが限られた時間内での成功への鍵となります。
行政書士試験の独学以外の勉強法

行政書士の勉強には、独学以外に「通学予備校」と「通信講座」の利用があります。
ともに独学よりも費用がかかるため、それぞれの特徴を把握しておきましょう。
通学予備校では、駅の近くにある予備校の校舎に通って勉強をします。
従来の一般的な学習スタイルであり、他の受講生と共に勉強できるためモチベーションを維持しやすく、集中して勉強できます。
しかし、一方で通学予備校の大きなデメリットは受講料の高さにあります。
通常、受講料は20万円から25万円程度かかるため、経済的な負担が大きいですが、本格的に勉強したい人にはおすすめです。
通信講座は、最近人気の勉強方法です。
スマートフォンやパソコンを利用して動画講義を視聴しながら勉強を進めます。
スマートフォンを使うため「いつでもどこでも高品質の講義」を受けられます。また、問題集をスマートフォンでゲーム感覚で解くこともでき、飽きずに学習を進めることができます。
通信講座の大きなメリットは、コストパフォーマンスの良さにあります。通学予備校と比較すると、受講料はかなり安価で、多くの講座が10万円以下です。
通信講座は自宅で快適に勉強を進められる上に、経済的な負担も少ないため、多くの人におすすめです。
通信講座の意外な活用法として、動画講義のみを利用する方法が挙げられます。
動画講義とテキストや問題集を購入する一般的な通信講座は費用が高いですが、動画講義だけを利用するプランを選べば、費用を抑えることができます。
例えば、スタディング行政書士講座は、問題集を除く動画の基本講義プランを3万円台で利用できます。
行政書士試験の独学に関するよくある質問と回答
最後に、行政書士試験の独学に関するよくある質問と回答についてご紹介します。
- 独学の勉強に厳しさを感じています。どうすればいいでしょうか?
- 独学で勉強していて行き詰まりや厳しさを感じる場合は、勉強方法の見直しを考えましょう。特におすすめなのが、動画講義での勉強に切り替える方法です。
通信講座の動画講義だけのプランに申し込むことで、一般的な通信講座の全プランを利用するよりも費用を抑えることができます。
- 高卒でも独学で行政書士に合格できますか?
- 行政書士には受験資格がないため、学歴に関係なく受験できます。 実際に、多くの高卒の方が独学で行政書士試験に合格しています。
行政書士試験は、法律の知識が無い人も多く受験します。
法学部出身者だけでなく、さまざまな背景を持つ人が受験するのが特徴です。大切なことは、学歴ではなく試験に必要な知識をしっかりと学び、効率的に勉強することです。