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【専門家インタビュー】行政書士事務所におけるWEBマーケティングのリアルに迫る!前編

行政書士として開業したばかりの方や、これから開業を目指す方にとって、「集客」は避けて通れない課題です。特に、インターネットを活用したWEBマーケティングの重要性は一層高まっていますが、「何から始めればいいのか分からない」という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、行政書士をはじめ士業のWEBマーケティングを熟知した専門家に、初心者でも実践しやすいアプローチや効果的な手法についてお話を伺いました。実践的なアドバイスが詰まった内容を、ぜひ参考にしてください!

辰巳
辰巳

行政書士の学校の辰巳です!本日はWEBマーケティングの専門家、株式会社グットアップの榎本さんに色々とお話しを伺っていきたいと思います。榎本さん、どうぞよろしくお願いいたします!

榎本
榎本

株式会社グットアップ、代表の榎本です。本日はよろしくお願いします!

専門家プロフィール

榎本 元|株式会社グットアップ 代表取締役
Web活用に悩む士業事務所のパートナーとして、全国の士業事務所のWeb活用をサポートする。Webが苦手な士業の方から「本当に信頼して相談される存在」になるため、特定の分野に限らない幅広いWeb知識の修得を心がけている。

モットーは「魅力を発掘し、伝え、つなげる」。専門家の魅力をちゃんと伝えることで、「専門家」と「相談者」がベストマッチできる世の中を作ることが目標。趣味は家族時間。仕事が終わってから妻と長男、2匹の愛犬と過ごす時間が毎日の癒やし。

https://good-up.co.jp

行政書士事務所にホームページは必要?

辰巳:WEBマーケティングの内容について入っていく前に1点確認がありまして・・・。本日のテーマとも関連するところですが、そもそも論として行政書士の学校では、以下の記事等でも「開業するならホームページはあった方がいいよね」ということをお伝えしています。実際、必要性という観点ではどのように思われますか?

榎本:うーん、早速難しい質問ですね(笑)まあでも「必要かどうか」と問われると、答えはほぼ「はい」になると思います。ホームページが無くても営業が出来て、仕事が取れる人ももちろんいらっしゃるんですが、やっぱり多くの方にとってホームページは信頼性の向上や集客に役立ちますので、あった方がいいことは間違いないと思います。

辰巳:なるほど。無くても良い人も一定数いらっしゃるけど、基本的にはあった方がほとんどの方にとって役に立つよ、ということですね。

ホームページ=ブログとは違うの?

辰巳:では、とりあえずホームページがある、もしくはホームページをこれから作るという前提でお話を伺っていきたいと思います。ホームページって自分のプロフィールや取扱業務、料金なんかを乗せますよね。他にも同業のホームページを見ていると「スタッフブログ」のようなものを更新している方もよく見かけますが、あれは集客において有効なんでしょうか?

榎本:確かに開業初期の方ほど、マメに更新している印象はありますね。ただ、いわゆる「ブログ」的な記事というのは集客という側面で考えたときにはあまり効果的ではありません。ブログ的な記事、というのは例えば「どこどこ支部の研修に行った」とか、「どこどこのお店でお昼を食べた」とか、そういう投稿ですね。

WEBマーケティングの基礎、SEO対策とは

榎本:まず、ホームページを作ったらアクセスを集めないと誰も見てくれる人がいない、何も起こらないっていうのは、皆さん分かりますよね?

辰巳:それはそうですね。新しく家を建てても、誰にも言わなかったら、誰も遊びに来てくれないのと一緒ですね(笑)

榎本:じゃあ、どうやってアクセスを集めるの?という話なんですが、アクセスを集める方法のひとつが、いわゆる「SEO対策」という方法です。簡単に説明すると、何か記事を書いて、それがGoogleやYahoo!などの検索の上位に表示されると、アクセスが集まるよねっていう手法です。

SEO対策

SEO対策とは、検索エンジン最適化(Search Engine Optimization)を目的として、自社サイトを検索結果の上位に表示させるための施策です。

榎本:行政書士事務所であれば、例えば何かの許可をこれから取ろうとしているお客さんの立場に立って、こういう検索するかもってキーワードを考えてみてください。

辰巳: 「建設業許可 資本金 いくら」とか?

榎本: そうそう。そうすると、検索結果に10個ぐらい検索結果が出てきますけど、その検索上位に表示されてる10個が、現状そのキーワードで検索したときに、GoogleやYahoo!がこの世の中で一番いいと思ってる10個の記事なんですね。端的に言うと、その10個の記事をポチポチクリックして中身を見て、それよりもいい記事を書けばOKってことです。

辰巳: なるほど。より良い記事が書けたら、それが検索エンジンに評価されて上位にランクインしてくるかもってことですね。

SEO対策として有効な記事を書く

辰巳: 検索した人のお役に立てるような良い記事を書けば良いことは分かりましたが、具体的な記事ボリュームの目安とかってあるんでしょうか?

榎本: 一般的に、効果的な集客を行うには1記事5,000~10,000文字程度の文字数が必要と言われています。もちろんボリュームだけで判断されるわけではありませんが、高品質な記事を書こうと思うと自然と結構な文字数になってくると思います。

辰巳: 5,000文字って・・・結構大変ですよね?原稿用紙が大体1枚400文字だから、12枚・・・(笑)

榎本: そうなんですよ、大変なんです。もし開業前や開業直後で時間があるよって方は知識の整理も兼ねてぜひチャレンジしていただきたいとも思いますが、そもそも文章を書くのが得意でないとか、そんなに時間が取れない、なんて事情もあると思います。そんなときはライターさんに外注するという手段もありますね。

辰巳: なるほど、プロに依頼するわけですね。ちなみにプロに依頼するといくらくらいかかるんでしょう?

榎本: ライターさんって、大体1文字いくらっていう単価設定があることが多いんですが、文字単価5~10円がひとつの目安かなと思います。例えば文字単価5円のライターさんで、5,000文字書いてもらうと25,000円って感じですね。

辰巳: 安くてそれくらい・・・ってことですよね・・・?

榎本: そうですね、安くてそれくらい。もし文字単価10円の方に1万文字書いてもらうとしたら、1記事10万円になりますね。

辰巳: なるほど、結構お金がかかるんですね・・・。ちなみに、やっぱり記事数もそれなりにあった方が良いんですか?1記事だけ渾身の記事があってもダメだろうなってイメージはなんとなくあるんですけど。

榎本: 1記事だけすごくお金をかけて良いものを書いてアップロードした場合、その記事単体で見たときには上がってくる可能性はありますよ。ただ、そもそも記事が沢山あったり、いろんなキーワードで上位を取れる記事のストックがある方が総合的にサイトの評価は高くなりますので、そういった評価が検索順位に与える影響がないわけではありません。

辰巳: なるほど、ウェブサイトにもベースとなるポテンシャルと言うか、そういう評価軸があるんですね。

広告という選択肢

榎本: SEO対策は時間がかかって大変・・・という場合は、もっと手っ取り早くアクセスを集める方法もありますよ。

辰巳: もしかして広告ですか?

榎本: そうです、広告です。広告って皆さん大体イメージとしてはご存じかなとも思いますが、例えばユーザーが検索したキーワードに連動して検索結果に表示される「リスティング広告」などがありますね。お金はかかりますが簡単にサイトを検索結果に表示させることができます。

リスティング広告

リスティング広告(キーワード広告)とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで特定のキーワードを検索した際に、検索結果ページの上部などに表示される広告のこと。

辰巳: 確かにSEOよりは手早く効果が得られそうですね。

榎本: ただ、競合が多い地域や業種では広告の単価が高くなりがちで、コストパフォーマンス的に微妙なケースもあるので注意が必要です。例えば「建設業許可取得」と検索されたときに、ご自身のサイトの広告が出ていれば、今すぐお願いしたい人が見てくれるので依頼に繋がりやすいですよね?でも、みんなその仕組みをわかっているので、競合の事務所さんたちもそういう強いキーワードに対して広告を沢山出すんです。結果、広告費がどんどん高騰していって、最終的に広告費をいっぱい払えるところが競り勝つ、と。結局お金の勝負になっちゃうんですね。

辰巳: うーん、単純にお金を積んだ者勝ちとなると、開業期の行政書士には辛いですね・・・。

榎本: ですよね。やっぱり資金力のある大型事務所さんには敵わないですから。そこで最近おすすめしているのが「ディスプレイ広告」です。ディスプレイ広告って、どんなものかご存知ですか?

辰巳: あのニュースサイトとかで、よく間に挟まっているやつですか?

榎本: そうです、そんな感じです。ニュースサイトでもブログでも、YouTubeでもSNSでもいいんですけど、何かコンテンツを見ている時に画面上に忍ばせるタイプの広告ですね。ディスプレイ広告だと、さっきのキーワード広告に比べて大体10分の1くらいのクリック単価で、アクセスを集めることができます。

辰巳: あのタイプの広告って、自分の属性に合わせてある程度パーソナライズされている気がするんですが、配信側もターゲットを選べるんですか?例えば私はよく行政書士関連のサイトを見たり情報を集めたりするせいか、行政書士資格のスクールの広告がよく出てきます。

榎本: そうですね、年齢や性別、地域、過去に訪れたウェブサイトやアプリの利用履歴なんかをもとに、広告を表示するターゲットを選別することが出来ます。先ほどご紹介したリスティング広告は、実際に特定のキーワードで検索した人が対象になるので「今すぐ依頼したい」という比較的「お急ぎ」の人を集めることに適していのですが、ディスプレイ広告の場合はもっとじわじわ効いてくる感じです。例えば普段から建設業関係のサイトをよく見ている人に建設業関連の広告、終活で悩んでいそうな高齢の方に遺言関連の広告、とかそういうイメージですね。

辰巳: 上手く運用できれば、自分が狙っているターゲットに対して認知を拡げる効果が得られそうですね!

お金のかからない集客方法

辰巳: SEOと広告について、基礎的な部分は分かってきました!でもやっぱり気にかかるのはお金のことですね・・・。

榎本: 広告にお金がかかるのは分かりやすいんですが、SEOも結局お金か時間は必須ですもんね。どんな業種でも特に最初は広告宣伝って一定のお金はかかると思うんですけど、なんとなく士業の方ってそこに抵抗のある方が多い印象です。

辰巳: そうなんですよね。士業って試験の成績と実務のスキルがあまり比例しないので、実務は経験を積みながら覚えるしかないんですよ。なので、ゼロから開業ってなったときに最初から広告をかけてバリバリ集客してってイメージを持ちにくいんだと思います。

榎本: 確かにそうかもしれないですね。経験も自信もないのに、いきなり問い合わせが増えても怖いですもんね。

辰巳: 何かそこを上手く克服できるような集客方法は無いですかね?出来ればお金があまりかからない方法で・・・。

榎本: リクエストが多いですね(笑)少しWEBマーケティングという視点からは逸れる可能性もありますが、他にも集客の手段はいくつもありますので、後編で紹介させていただきますね!

辰巳
辰巳

前編は以上となります!後編では、なるべくお金のかからない方法で(!)集客への取り組み方を探っていきたいと思います。ちなみにこの記事はちょうど5,000文字くらいです(笑)ここまでお付き合いいただきありがとうございました。後編もお楽しみに!