日本一の行政書士事務所は何が凄いのか

日本一の行政書士事務所、それは神戸にあります。

きずなグループ。
取り扱い業務は自動車登録業務。行政書士事務所で従業員300名以上、年商16億以上。僕が知る限りぶっちぎり日本一です。

過去に参加したきずなグループの勉強会や、行政書士の学校主催のイベントにてきずなグループの森本代表から直接学ばせていただいたことを振り返ります。

行政書士業界の構造とは

2023年現在、全国の行政書士の数は52,015人、法人事務所数は1,536事務所となっています。(2023年10月末/日本行政12月号より)

行政書士の数は年々増加傾向にあり、また、行政書士法人が1人で設立できるようになったこともあり、これらの数字は常に過去最多を更新し続けています。

しかし、いわゆる「億超え事務所」となれば相当数が限られてきます。

2009年の本ですが、こちらに当時億超え事務所は27事務所と記されていましたので、純粋に分母が増えていることから30以上、しかし多く見積もっても50は無いくらいなのではないかと推測されます。

また、行政書士会の統計でも上記のような結果が公表されています。(日本行政2018年10月号より)

税理士や弁護士が行政書士登録していたり、登録したもののほぼ行政書士としては稼働していない方もいらっしゃると思いますので正確な統計というわけではありませんが、それでも圧倒的に年収500万未満が多く、1億以上はごく僅かで、1000万〜1億の間の中間層をトータルしても全体の10%もないという極めていびつな構造であることはお分かりいただけると思います。

行政書士事務所のトップは何が凄いのか

これはあくまで僕の知る限り、ですが。億超えしている事務所のこれまたほとんどが2億未満、5億を超える事務所は片手で収まるくらいなのではないかと感じています。

行政書士法人会の理事もさせていただいていますし、全国の有名事務所の方とも多く交流させていただいている上での実感値です。

したがってきずなグループの16億という数字はもはや圧倒的。敵がいない状態と言っていいと思います。あえて言うなら敵は身内(行政書士)にはいない、そんな状況だと推測されます。

つまり我々の業界のトップは、先例のない未開の道をずっと歩んできているわけです。

道なき道の開拓

開業期の方とお話をする際、必ず僕が伝えていることがあります。

それは、一番手っ取り早く事業を軌道に乗せるためには「自分が目指すモデル事務所を決めて、徹底的に真似をする」ことだと。本やネットに情報が溢れている時代ですので、上手くいっている人がやってきたことというのは、ある程度簡単に情報を得ることができます。

後は単純に量をこなせるか、実行できるかどうか。1日16時間労働を2年やれば一人前、なんて話も聞いたことがありますが、正しく必要なだけの量を重ねることができれば、少なくともこの業界で食べていけないなんてことはありえないのです。

しかし、トップを走り続ける1番の事務所には真似をするものがありません。モデルがいない。これは相当キツイと思います。道なき道を開拓し続けるのは本当に苦しいことです。

そんな苦しい道のりを何年も、何十年も走り続けているというのは、本当に「凄い」としか言いようがありません。

行政書士事務所の成長の壁

行政書士として開業すると成長の段階に応じて壁が立ちふさがります。

アナログだったとしても、やるべき営業活動をしっかりと続けていれば生活はできるくらいにはなります。金額にして月商50万円くらいでしょうか。

しかし、その先に行こうとするとなかなか力技だけではうまくいかず、何より継続的な成長は難しくなります。

ということで自分が感じてきた壁とその打ち破り方を書いてみたいと思います。

月100万円の壁

年商1000万超えともおおよそ重なりますが、やはり一つのラインがここだと思います。先ほどの統計資料を見ても90%の事務所がこの壁を超えられていません。

月次では100万円を超えても、年間均して100万円というのはまた別問題。

ここを超えるにはいわゆる「構造」を作る必要があります。Webでも紹介でも、両方でも、ある程度継続的に仕事がくる仕組みが必要なのです。

そして継続的に月100万円を超えてくると、業務量が厳しくなってきます。そうすると、営業活動をしながら実務をやるためにはブラック的に働くか人を入れるかという壁にぶつかります。

どのくらい働くのかといえば、目安は1日16時間、月間にして500時間くらいでしょうか。個人事業主でなければ、もはや法的にNGな労働量ですね。

しかし残念ながらこの感覚値は他の行政書士法人の代表者たちともおおよそ認識が合っているようです。労働集約型の行政書士にとって悲しい現実と言えるかもしれません。

年3000万円の壁

1000万円を超えてくると比較的2000万円は近いところにあります。

ただ、2000万円となると間違いなく1人では実現が難しいレベルです。よほど単価の高い業務を扱わない限りは厳しいでしょうし、何よりそれだけの業務量ではよほど強いWebでもない限り営業活動にいけませんので、継続的な受注が難しくなります。

一般的に行政書士事務所の一人あたりの月売上高は平均80万円くらいになると言われています。150万円の人もいれば50万円の人もいて、パートさんや事務員さんもいて、平均を取ると・・・ということですが、ある程度数字が安定している事務所はどこもこのくらいの数字に落ち着くようです。よく一般的な会社員も「自分の給料の3倍稼いで一人前」と言われる、それと同じようなことですね。

ということは、3000万円の壁を突破するには月の売上は250万円、つまり3人から4人くらいの人数がいないと越せないラインになります。

このあたりから出てくるのがマネジメントの壁です。

それまでは個人事業の延長でマニュアルや標準化ができていなくてもガムシャラにやればどうにかなる規模でしたが、ここを超えるには社内体制を整えたり、スタッフの管理にも気を配ったりする必要が出てきます。

マネジメントをしっかりしないと此処から先にはいけない、そんなラインがこのあたりかと思います。

年5000万円の壁

統計資料では、もうこのあたりから上位1%くらいになってきます。おそらくですがこのあたりが地方都市の一つの最大値かと思います。

行政書士の主戦場である許認可業務にもやはり市場の大きさの限界はありますし、書類メインのアナログな仕事がほとんどの場合には、どうしても地場でやるという選択肢は避けられません。都会で一極集中という戦略が難しいんですね。

従って支店展開をする必要が出てきます。つまり支店長を任せられる人材がいるという壁が出てきます。

また、月400万円以上を継続的にこなし続けるためには顧客管理や案件管理なども効率化していかねばなりません。

営業やマーケティングと実務を分ける事務所もこのくらいから増えてくるように思いますし、社内の組織体制、役割分担が非常に重要になってきます。

事務所のレベルアップとともに変化する課題

事務所の成長のレベルによってぶち当たる壁は変わってきます。

きずなグループのように300人以上も人がいるなら、人事考課を始めとする制度設計や採用、育成計画も相当に作り込まねばならないでしょうし、自動車業務という決して単価の高くない分野で16億円以上というのは生産性を極めたオペレーション、完全分業制、マニュアル化、そして理念の浸透が不可欠でしょう。

きずなグループが70年をかけて積み上げてきた、そうした事務所運営の経験値そのものこそが、僕はダントツで日本一だと感じました。

日本一が見ている景色に触れて

失敗の数だけ成長がある

勉強会当日は社長だけでなく会長もお越しいただき、幹部の方も交えて沢山情報交換させていただきました。いや、一方的に教えを頂いてきました。

自動化が進む中で、これだけの人数を抱え事業展開していけるのか、利益率、内部留保はどこをベースラインにしているのか、そしてどこを目指していっているのか、お会いする前の疑問も解消していただきました。

社長も会長も笑って、沢山失敗してきたとざっくばらんに数字も見せてくださいました。

たくさんの失敗があるから、言い換えればそれだけのチャレンジをし続けてきたから、今の姿があるのだと思います。

変化の波に乗るということ

きずなグループの森本代表は、実際に現在も業界を変えるような仕組みを開発され、仕掛けようとされています。

2023年3月に行政書士の学校で開催した特別講演の際も、貴重なお話を沢山伺うことができました。

特別講演のアーカイブ動画は、行政書士の学校の会員限定で公開しています。

一つ言えるのは、こうして勉強会や講演会に集まる全国の行政書士事務所の代表も、そして日本一の行政書士事務所の代表も、行政書士の未来を悲観していないということ。

時代とともに変わっていくのは当たり前。それは今までだってそうだったわけです。

必要なのは変化の波に飲まれるのでなく、波にのること。そのために学び、行動し続けるということ。

校長
校長

スケールの大きな話を聞いて、自分の悩みがちっぽけに思えたのが一番の収穫だったかもしれません笑

新しい時代の中であるべき行政書士像がどのように変化していくのか僕にもまだ分かりませんが、全国の行政書士とともにチャレンジを続け、いつか変化の先にある新しい景色が見たいと思っています。